時速30キロとことこの旅

徒然自転車に乗っていた女が体力に限界を感じて原動機に魂を売りました。

女は台風などものともしなかった

原動機付自転車もといモペッド、新車購入から3週間。

購入を決める以前から、絶対に行ってやろうと決意の炎をめらめらと燃やしていた本栖湖へ行ってきました。

 

住まいから約130キロ、片道5、6時間てところ。

チャリンコに荷物を積んで片道100キロライドしたときよりも体力残量メーターの残りが多い、圧倒的に。

モペッドもといミニバイクすごい。

 

今回の遠出でやたら苦労したことといえば荷積み。

チャリンコと仕様がぜんぜん違うじゃありませんか。

あまりにも違う。

キャリアの耐荷重3キロ、弱!!!

え、弱!!!!

 

あまりに非力すぎる。

 

チャリンコのキャリアだって10キロ以上耐えるのにお前ってやつは!!!

3キロってテント、シュラフ、マットとか載せたらもうオーバーしているのでは……?

 

戸惑った女は載せてみた、チャリンコ用のサイドバッグを、シートに。

お!良い感じ!と喜ぶも、よくよく考えてみたこのサイドバッグの幅20センチくらいある。

あれじゃない?原付って積載制限厳しくなかった?

積載装置左右15センチ、地面から2mとかそんな感じでしょ……

 

アウトでは……?

 

怖気づいた女はサイドバッグを下ろした。

 

というかシートとキャリアを跨ぐように置いてしまえば、思いのほか積める。

そう、このとき気づいたのです。

 

女は自身が平均的な女性よりも小柄であることを思い出した。

 

めっちゃ悪い姿勢で深く腰かけない限り、座席の後ろめっちゃ余ってる。

大きめの抱き枕くらいなら二人乗りも出来そうなくらい余る。

載るんじゃないの、荷物。

 

しかしどう積めばいいか分からない。

なんといってもキャリアの耐荷重は3キロ。

平積み?いやいや、クッカーとかのこまいものはどうするの。

こまいものをリュックとかにいれてテントやシュラフと一緒に縛る?

 

というかぜんぶハコにぶち込めばよくない?

箱ごと縛ればよくない?

 

箱とえばコンテナ。

コンテナといえばわたしが推している競走馬。

コンテナがあれば机代わりになるからローテーブルもいらないし、これはなかなか。

 

さっそくアマゾ〇プライムさんにお願いして翌日届けて頂く。

荷物多いし幅60センチのやつでよくね?と適当に選んだコンテナ。

キャプテンスタッグ改め鹿番長。

ついでに、荷積み用にタナックスのパワータイベルトと、引っ越しなどで使用される荷締めベルトも購入。

少々お高いが安全には変えられません。

 

チャリンコのときは100均の荷積みベルトを使い捨てていたけど、そうもいきません。

原動機に頼って荷物増やしちゃったし。

 

そして、届いたコンテナのサイズ感に驚く。

大きくな~い?

女は自身の計画性のなさに失望した。

 

いや、まぁ、いけるでしょう。

いけるいける。

チャリンコ旅の時だって、サイズ間違えたりなんだり色々あったけど、そこはハンドメイド根性でなんとかしてきました。

いけるいける。

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積んでみた。

キャリアの小ささにくらべコンテナが巨体すぎたため、60センチくらいのネットを装着してバランスをとる試み。

一部をシートに乗せ重さを分散、装着ネットの余り部分にマットと焚火台を乗せる。

いけないこともない。

しかしバランスは悪し。

 

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お???こっちのほうがバランスよいのでは!

装着ネット氏が歪んでいるがそれは愛嬌。

 

載ってみたところ、車体が重たい感じはするがバランスは問題なし。

もう少しシート寄りに乗せても問題なかろう。

 

ベルトたちが混線していてきったないのも愛嬌でしょう。

パワータイベルトだけなら綺麗に負けるのに、驚くほど長い荷締めベルトをまくとこうなっちゃう……

 

ちなみにコンテナの内部、本当にいろいろ詰め込んでいます。

テント、シュラフシュラフカバー、椅子、クッカー、ガスバーナー、ガス缶、カトラリーセット、タープ、タオル5枚、着替えのTシャツ3枚、サンダル、蚊取り線香、トング、水用10Lボトルなどなど

 

原動機を過信しすぎて焚火台までもっていこうとするんだから、いったいどれだけ負担をかけるのか。

それでも載せる。載せるしかない。載せたいから。

 

27日早朝、たぶん6時半頃。

時間をはっきり覚えていないのは荷積みに苦労をしたせい。

物を詰め込みすぎたコンテナを、そもそもモペッドくんの上に乗せるのに大変な労力がかかりました。

おっもい!!!!

そりゃそうだ。

チャリンコのときはサイドバックにクッカーやガスや着替えなんかの細かいものを詰め込んで、キャリアの上にマットやテント、シュラフを括っていました。

なるべく軽量化するためにタープ、焚火台、椅子、シュラフカバー、蚊取り線香、水用10Lボトルなんかも持っていかなかった。

これを全部まとめてコンテナにぶち込んでいるんだから、そりゃ重いわけです。

荷物増えすぎだし。

 

総重量何キロか数えたくもないこの塊をゼェハァ言いながら載せ、パワータイベルトでしっかり固定。

その上にマットと焚火台を載せ、荷締めベルトでしっかり固定。

足元には食材と保冷用の凍らせた1Lペットボトル。

入りきらなかったお気に入りのチャムスのビッグマグとレインコートをぶら下げて何とか完成。

 

ふと思い出したけれど、そう言えば食材も現地調達でわざわざ持って行ったりしなかった。

これもまた重さの要因。 

 

いかにもキャンパーなダセェ出で立ちでいざ、いざ本栖湖へ。

早朝の時間帯を選んだのは渋滞を避けるため。

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写真は休憩で立ち寄ったセブンイレブンいい気分。

 

今更だけど、原動機付自転車もといモペッドもといミニバイクもとい50ccスクーター。

ホンダのジョルノ、色はパールマーメイドブルー

眩しすぎ、可愛すぎ。

名前はレッドファルクス。親しみこめて君づけで呼んで欲しい。

レッドファルクスくん。

 

青なのにレッドというツッコミは無用。

昨年のスプリンターズステークスで勝たせてくれた可愛い芦毛くんより名前を拝借。

青なのにレッド。なんと無粋なツッコミ。

気になったら是非ググって欲しい。

そもそも青じゃァない、パールマーメイドブルーだ。

パールマーメイドブルー

眩しすぎ、可愛すぎ。

 

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ここは休憩と食料調達のために立ち寄った道の駅「富士吉田」

なかなか大きな道の駅。

さすがMt.フジの足元、道の駅内にモンベルのショップがある。

ちなみにバイク置き場は無人、最初から最後まで誰も来ませんでした。

 

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これは富士吉田で食べたソフトクリーム。

シャインマスカットソフトクリーム、だったかしら。

500円也

 

美味しかった。美味しかったのよ、マスカットの味して。

でもね、この日あんまり暑くなかったの。

ソフトクリームで身体が冷えたせいで多少寒かった。

 

それも愛嬌愛嬌。

 

富士吉田に到着するまで約3時間半。

 

そこから本栖湖までは近い。

もうね、あんなに荷物を増やしたのにさすが原動機、快適。

 

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出迎えてくれたのは穏やかな本栖湖

いやぁ、130キロ。遠かったけどそんなに遠くなかった。

 

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抜けるような青空とはいかなかったけれど、翌日に台風が迫っているにしては良い景色だったのではなかろうか。

 

この日、本栖湖キャンプ場を選んだのは『湖畔の映画祭』というなんとも素敵なイベントをやっていたから。

映画のラインナップがこれまたサブカルチックで良い。

メジャーどころが全然ない。「カメラをとめるな」くらいかな。

 

映画の関係者はみなバンガローに宿泊していたらしいが、スカートにヒールの女性なんかもいてなかなか、なかなか。

すごい……なんていうか、蚊に刺されそう。

 

さて、到着はお昼ごろ。

徒歩キャンのお連れさんがバスで先に到着していたので合流し設営。

 

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すべて青で統一。

別に青が好きなわけじゃぁない。

山手線みたいな緑とか紫が好き。

テントはもともと青いものを使っていたし、偶然モペッドくんもパールマーメイドブルー

ならばといろいろと青で揃えているうちに真っ青になりました。

 

ちなみにお連れさんも同じような理由でテントに合わせて真っ赤になっていた。

赤備え。

真田か?井伊か?武田か?

 

わたしが青で揃えてるから、ふたりならぶと上杉と武田では?

うん、わたしは謙信が好き。

謙信の夢女だからね、景虎様とか呼んじゃってるからね。

 

なんだかんだやっているうちにお腹もすいたのでカップラーメン食べて夜ご飯の準備。

売店に氷売ってる。

あとで酒用の氷買うためにモペッドくん出さなきゃな、と思っていたのでこれはありがたい。

乗らなくてもいいのならもう酒が飲める!

 

適当に拾い集めた松ぼっくりと枝で火を起こし、誰もがやりたいであろうこれを。

 

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こうする

 

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そしてお気に入りのビッグマグで酒。

 

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スコッチウイスキーバランタインハイボールで飲んじゃう。

一瓶まるっと持ってきたし、割ものもいろいろあって良いでしょうと炭酸類もってきたんですけどね、やっぱり炭酸水とレモンが一番美味しい。

 

次回からは炭酸水だけで良い。

 

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肉も焼いちゃう。

本当はウインナーとかキノコとか野菜とかいろいろ焼いたんですけどね、食べちゃったんですよ。

写真撮る前に齧って「うめぇ!」って言って気づくわけです。

自分の歯型を見て。

 

女は野菜についた歯型を見て、自身の歯並びに絶望した。

 

 

晩酌もひと段落したあたりで、せっかくのでやはり映画を見に行かねばと椅子と酒をもって会場へ。

そこまではよかった。

雰囲気もいいし、酒は旨いし。

でもね、さっっっっっむい!!!!!!

さっむい!!!!えーーーー、寒い!!!!

 

あまりの寒さに一度サイトへもどってマットの下に敷いている断熱シートとシュラフカバーを持ち出して包まる。

あったかい。

 

一本目の映画はガタガタ震えていたけど、二本目はそれなりに快適に鑑賞。

三本目のときはさらに寒くなるだろうとシュラフを持ち出すか!と奮起したところで雨。

 

おっと、シュラフ濡れたら最悪では……?

というかこんなに寒いのに雨に降られて可憐な美少女は無事でいられる……?

いや、いられない。

 

女は諦めてサイトへ戻った。

 

もうね、キャンプというのはね、酒を飲んで寒さを楽しむ遊びなんですよ。

テントに入ったら肌寒さと温かさと地面の硬さを感じながら寝るべし。

 

 

知ってましたけど翌日は雨。

降り続ける雨、タープに当たる滴の音で自分の声も聞こえない。

遅めの朝ごはんと早めの昼ごはん兼用でだらだらしたあと、ヴィラ本栖という施設で日帰りのお風呂へ。

これがまた気持ちいいんですよねぇ。

 

温泉はいつでも気持ちいけれど、自走の旅やキャンプの真っ只中で入る温泉は一瞬死ぬ。

天国見えちゃう。

気持ち良すぎて昇天。

 

お連れさんとふたりで貸し切り、一時間ちょい入ってました。

おや、外に出ると雨がやんでいる。

嵐の前の静けさ。

 

山梨のほうは夜中に降るんだって、知ってる、調べたから。

 

汗やらなにやらをさっぱり流した気持ちのいい状態でサイトへ戻り、二日目の晩酌タイムへ。

晩というような時間でもないけどいいの。

雨だし、映画祭にきてるけど、雨だし。

タープで雨をよけて、焼いて、飲んで、食って、飲んで、ぼんやりする。

 

夜中に虫と遭遇すること、明け方に虫と遭遇すること、トイレで虫と見つめ合うこと、これさえ除けば、本当に最高で楽しい遊び。

 

だって、外で飲んで食ってぼんやりして、あとは寝るだけ。

そんな幸せなことってなかなかない。

 

19時頃には台風の影響で雨が強くなってきたため、早い段階でテントに避難。

レッドファルクスくんを移動させ、テントを覆うようにタープを低く張る。

テントふたつとレッドファルクスくんで三角形をつくり、タープの上に雨水がたまらないように水の通り道をつくれば、あとは籠るだけ。

 

テントの中で大雨の音をうるさいなぁと思いながら聞くのもまた一興。

風に煽られながら、災害レベルの台風だったら明日の朝まで起きてないかもと思うも乙なもの。

まぁ、避難指示や避難勧告が出ても、本栖キャンプ場から一番近い避難所って近くのスポーツセンターなんですよね。

徒歩5分。

避難指示、いつでも来い。

 

来なかったけど。

爆睡したけど。

起きたら晴れてたけど。

 

テントの中で大反響豪雨の音を録音したり、揺れまくるテント内部の動画を撮っているうちに気づけば夢の中。

二度ほど目が覚めて、フライシートの内側に入り込んだデカい蜘蛛氏を指ピンで叩き落とす。

夢だったのかもしれないけど。定かではない。

 

三日目の朝、降ったりやんだりを繰り返していたけど、徐々に晴れ間が長くなり、雨を避けながらも片づけを終えました。

ありったけの食材を食べつくした我らは荷物の交換を行います。

大きくてかさばるが軽いものは徒歩キャンのお連れさんが、かさばらないが重たいものはわたしが。

片付けと言ってもわたしはコンテナにぶち込むだけ。

 

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帰りは随分コンパクトです。

この写真を撮ったあと、ふと振り返ると一昨日出迎えてくれた本栖湖が今度は見送ってくれるという粋な演出。

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まだ雲は多いけれど、青空ものぞき始めている。

なんとまぁ、晴れてくれました。

良かった、雨の中レッドファルクスくんを乗り回すのはまだ怖い。

 

そもそも原動機怖い。

たぶん気づかないうちに道交法違反してそう。

車の皆さん、バイクの皆さん、ご迷惑をお掛けしております。

 

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この辺りはまだ咲いている。

 

 

自走の旅に行くたびに思う。

人間はどこへだっていけるのだなぁ。

ジュールヴェルヌが言った「人間が想像できることは実現できる」という名言もまさにと心にくるもの。

 

 

峠のヘアピンカーブでぎこちないコーナリングを披露しながら女は帰る。

煽ることなく、後方で適度な車間距離を保ってくれた白い車さん。

その節はありがとう、ちんたら走っていてすみません。

 

次はどこへ行こうか、女は考えながら帰る。