女は原動機付自転車なるものに感動した
以前わたしはロードバイクを買ったときに無料サービスでブログを始めました。
速く走ることが目的ではなく、自転車そのものが好きだったために購入したわけですが、いかんせんわたしには友だちがいなかったのです。
友だち自体少ないのに、ロードバイクに乗っている友だちなんぞいるわけがない。
わたしは、友だち欲しさにブログを始めました。
結論なんて言わなくても、ここに新しいブログを設立しているのだから言わずもがな。
そう記事も書かないうちに、ブログそのものに飽きてしまった。
そもそも友だち欲しさにブログを開設した女が、壁打ちのように文章を垂れ流し続ける様なんて誰が見たいものか。
スピードを出すことが目的ではなく、通勤通学が目的でもなく、峠超えをしたいわけでもない。
それでもロードバイクに乗りたい女は旅に出ました。
ちょっと伊豆のほうに。テントやシュラフを積んで。仕事を辞めて。
まぁ仕事を辞めたのは別の理由であったのだけど、ロードバイクを購入してから数年後、女はようやく遠出をしたわけです。
そう、ひとりで。いや、愛車とふたりで。
荷物を積んで早朝、羽田空港から出発しました。
目的地はざっくり伊豆のほう。
道を間違えたり、グーグル先生に騙されて山道に迷い込んだり、道を間違えたり。
宿泊はすべて道の駅や川沿いにテント泊。
伊東マリンタウンで花火大会に遭遇したり、ひとりで寂しく浜焼きしたり。
大変楽しかったけれど、結局友だちはできなかった。
旅先で出会った人と友だちになれないかな!なんて期待も儚く散りまして、そうですね、儚いとは人の夢と書くのです嗚呼Fu〇king
女の日記はそこで終わっていることでしょう。
なぜなら、もう確認する術がないから。
登録したときのメールアドレスやパスワードが分からなくなってしまったから。
日記には飽きたけれど、自走の旅にははまり込みました。
キツイんですけど、身体とか諸々キツイんですけど自走の旅はそれはもう中毒性満載の脱法ハーブなみに駄目なやつ。
帰ってくると、もうやめる、キツイ!って思うのに、5分後には次はどこへ行こうか考えている始末。
結果、女は壁打ち日記を忘れ去った。
それでも女はまた性懲りもなく日記を書こうとしている。
日々徒然など書けるわけもなかろうに。
わたしは自転車が好きだったのです。
速すぎず、遅すぎず、それなりに手間がかかる可愛いアイツ。
息子と娘がいます。
ふたりとも世界一可愛い。
出来ることならばアメリカくらい横断してやりたいのですが
いかんせん、ひとは年を取るもの……
いやね、まだそんなにババアってわけじゃないの。
全然若いから。勘違いしないで、若いから。
もともと運動なんててんで駄目だし、身体もひとより小さいし、体力もない。
ド文系で、昔から外で遊ばずに教室でひとり本を読んでいるような美少女でした、わたしは。
それこそ自転車で遠出しているときなんて、身体の部位部位で体力ゼロサムゲームですよ。
最後のひとりになるまで殺しあえってくらいギリギリのスレスレまでHP削ってペダルをまわしては瀕死の形相。
そんな美少女がアラウンドほにゃららに近づいてきたらもう駄目。
いや、まだちょめちょめサーティまでちょっと期間ありますけども。
とにかく、ほんの一、二年の壁で、重たい荷物を抱えて坂道のぼるなんて出来なくなってしまいました。
それでもわたしは遠出がしたい。
自転車も好きだけど旅も好きで、自転車じゃなかろうがすぐふらっとどこかへいくのがたまらなく楽しい。
でもやっぱり自走もしたい。
23区からだんだん市内の景色に変わっていくのも、橋の上で風に煽られるのも、トンネルの中でトラックの風に煽られるのも、追い風に煽られるのも、自走じゃないとできないじゃない。
車はそんなに好きじゃないし、大きいバイクなんて絶対運転できない。
そして女は原動機に魂を売ることにした。
50ccの原動機付自転車。
あくまで自転車、原動機がついているだけ。
ちょっと体重が増えただけ。
50ccスクーター、世間では馬鹿にされがちだけどすごいんですよ。
ちょっとひねると30キロでるんですよ。
ロードバイクで30キロ持続とか、わたしには絶対無理だもの。
荷物積んで遠出するならカブだろう、と思っていたんですけどね、わたし、ロードバイクもクロスバイクも見た目で選んでいるのです。
えぇ、スペックなんて二の次、見た目。
見た目良ければ呼べて良し。
だから今回ももちろん見た目で選びました。
バイクなんて素人、なにも知らないペーペーですから、中古の下手なもの掴んでしまっても困ると思い、ここは思い切って新車で購入。
まぁ、ほら、これでも一応大人ですから。
原動機に魂を売ったけれど、名目としては自転車。
やっぱりタイヤがふたつくっついてるものはかわいい。
早速片道18キロ走って、翌日は5、6キロだけ遊んで、その翌日に片道30キロ走った。
た……
たのしかった………
何度か自動車専用道路とか原付進入禁止の道路に迷い込みそうになったけれど、大丈夫、生きてる。
二段階右折もオッケー、ノープロブレム。
生身で右車線に乗り込んでいくより、二段階右折のほうが全然いい。
調子に乗った女は、この新しく仲間入りした子に乗って遠出をしようと考えているわけです。
新しい世界に足を踏み入れたら、そりゃぁやっぱり友だちが欲しくなるというもの。
それならば今度こそ、今度こそはとブログを再度始めてみた。
前のブログは迷子になってしまったけれども。
そんなわけで女は原動機に魂を売った。