女は洗車をしながら断捨離を思った
先週、台風真っ只中キャンプを決行して、モペッドくん、キャンプギアもろとも泥だけになった。
とうことで、テントやレインスーツに防水スプレーをかけ、モペッドもといレッドファルクスくんを洗車した週末。
何度も言うようだけれど、わたしはもともとバイクなんててんで疎くて、正直いまだになぜ右手を捻るだけで走るのか、その仕組みすらわかっていない。
分からないなりにも、愛車は愛車、大事にしたいわけで、でもバイクに詳しい友人もいない。
頼りになるのはグーグル先生。
「原付 洗車 やり方」検索
動画解説の親切設計。
インターネット万歳。
ありがとうグーグル。
なるほど、ロードバイクの洗車とは似ているようで微妙に違う。
チェーンむき出しのロードバイクはチェーンクリーナーだとかチェーンルブの注油だとか、油や埃でギチギチに汚れたスプロケットの洗浄だとか非常に面倒ではあったけれど、機械とは違い、「水をかけて動かなくなったらどうしよう」みたいな不安はなかった。
そもそもレッドファルクスくんはチェーンむき出しのあれらとは別物。
もちろんチェーンのあれそれをやらなければいけないオートバイもあるけれど、レッドファルクスくんは別物。
とりあえず、キャンプ場から連れてきてしまった土と松の葉を落としたい。
女はホームセンターで洗車用シャンプーを買うことにした。
自宅から徒歩30分、大きなホームセンターではないけれど、基本的なものだったら大体揃うビーバートザン。
コーナン商事の子会社でビーバープロも合わせるとなかなかの店舗数を誇る、オールラウンドホームセンター。
いつもお世話になっています。
細かいキャンプギアはここで買ったほうが安かったりするもので、結構な頻度で通っています。
カー・バイク用品コーナーに辿りついて、女は途方にくれた。
ググったけどやっぱりわからない。
思ったより種類が多いし、塗装によって違うみたいだし、ホワイト系?ダーク系?メタル系?
は????
レッドファルクスくん、あれ何色?
パールマーメイドブルー。
は????
ホワイト系のボトルを掴んで裏側の説明を見る。
「本製品を使用できる塗装色:白、ベージュ、シルバー、ピンク、黄色、水色などのホワイト系」
お、水色、これか?
ダーク系のボトルを掴んで裏側の説明を見る。
「本製品を使用できる塗装色:黒、グレー、紺、茶色、青などのダーク系」
お、青、これか?
は?????
女は混乱した。
パニクった結果、全塗装に使えるちょっと値段が高いものを購入。
いや、だってよくわからないし……
洗車のやり方は調べたけど、シャンプーの違いとかちゃんと調べてなかったし……
バイク用のシャンプーなかったし……車用のでも大丈夫って書いてあったし……
帰路、女はカーシャンプーのホワイトとダークの違いを調べた。
そしてふと思う。買う前にググれ。
なるほど、コンパウンド(研磨剤)の含有量の違いね、なるほど。
購入したものを確認、ノーコンパウンド。
うん、良いでしょう。
雨と快晴の繰り返しでこびりついた松の葉を落とせればいいの。
その日は日曜日。
明日は仕事。
ならば今日中にやってしまいたい。
汚れたまま、また一週間も放置だなんて耐えられない。
ロードバイクとクロスバイクは屋内、自室に置き場所をつくっているけど、原付はそうもいかない。
80kgを超す車体を置いておけるスペースはもうない……
そもそも、すでに自転車二台、自転車用の工具やタイヤ、ホイールなどの大きい部品が鎮座。
ついでにキックスケーター、スケートボードもある。
あとキャンプギア。
壁を埋める本棚には漫画。
屋外に置く以外の方法がもうない。
仕方なく外に駐輪、カバーはかけていても汚れたままはやっぱり心が軋みます。
翌日までに書かなければいけない原稿はあるのだけど、ひとまず忘れたふりをして、レッドファルクスくんに優しく水をかける。
時刻は夕方17時。この季節は夕方になっても明るい。
しかし、松の葉というのはなんでこうもしつこいのか。
水をかけると土汚れと松の葉がゆっくりと流れていく。
これだけでも十分綺麗になったような気もするが、せっかくなので購入したカーシャンプーとスポンジをセット。
バケツにキャップ2杯の洗剤をぶち込んで、水を流し込むと見事に泡立つ。
もこもこもこもこもこ……
なんと!これは!たのしい!
思わず、そうたいして大きくもないバケツの中で遊んでしまうが、気を取り直してレッドファルクスくんキレイキレイ作業にうつります。
バケツの中ほど泡立ちがよくない。
というよりも、洗っているそばから泡がへたっていく。
寿命短すぎるでしょ、泡。
暑さで泡が渇いてしまったら困ると思い、一部を洗ったらすぐ流すを繰り返すこと数分。
車体の見えるところはキレイキレイ。
上部を終えて、下部もキレイキレイ。
しかしなんといっても新車、ビフォーアフターするほど見違えたわけでもなく、パールマーメイドブルーは夕日に輝きます。
なんて可愛いんだ、俺のモペッド。
水滴を残さず拭き上げ、定位置に戻す作業で気づく。
荷物を載せていないと、車体が軽くて取り回しが非常に楽。
うーーーーーん……
やっぱり荷物が多い。
自転車のときは、持っていける量が本当に限られていたため、原動機に期待をかけすぎてしまった。
持っていけないこともないけど、正直使わないものもあったわけで、それならばキャンプギアの整理をしたほうが良いのでは。
女は、車体に映る夕日のオレンジを眺めながら、持つべき荷物について思考を馳せた。