時速30キロとことこの旅

徒然自転車に乗っていた女が体力に限界を感じて原動機に魂を売りました。

【合宿免許のススメ】身体が小さくてもバイクは乗れると女は言う②

運動音痴は、合宿で免許を取れ。というのが、この記事の結論である。

さきに言っておく。

 

運動音痴のチビが普通自動二輪に乗りたいのなら、

免許は合宿で取れ!

 

 

まずはわたし、そば子のスペックから。

身長154cm、計測器の調子が悪い時は153cm。

体重は毎年の健康診断で肥満度マイナス20程度をたたき出すくらいには小柄、貧弱。

 

残念ながら手足が短く、みんな大好きワークマンの服はたいてい着れない。

そば子は雑魚キャラなのだ。

 

普通自動二輪の免許取得時は20代後半、ほかの普通二輪教習生たちのなかでダントツ年上だった。

わたしの母も輪行してキャンプに行きたい!と60近くなってから20万越えの自転車を購入している。

 

なにかを始めるのに、遅いなんてことはない。

 

バイクというものは冬は寒く、夏は暑く、荷物は乗らないし雨が降ればずぶ濡れ。

バランスが悪く、走っていなければすぐに寝転がる。

体がむき出しで、転んだら即座に怪我につながる。

仕事で必要、ということでもない限り、バイクの免許なんて人生において必要ない。

 

それでも、バイクという乗り物には、そのデメリットすべてを取っ払ってしまう魅力がある。

デメリットどころか、バイクで走り出せばすべてがメリットだ。

 

暑い!とヘルメットを脱いだ途端、額に流れ落ちる汗も。

寒い!と信号待ちでガタガタ震え、かじかむ指先を握るのも。

あぁ、この荷物はどうやって積もうかな……と試行錯誤するのも。

降り出した雨がヘルメットを濡らすのも。

身体を傾けてヘアピンカーブを走るのも。

隣を通り過ぎるトラックの風に煽られるのも。

 

ぜんぶぜんぶ、楽しい。

 

もしなにかの拍子にこのブログにたどり着いた、体格で悩む未来の女性ライダーがいるのなら、わたしは全力をもってこう言う。

 

未来はとても楽しいよ、と。

 

ただ、先に述べた通り、バイクというのはとても危険な乗り物である。

転んで怪我をするどころか、その一生に幕を閉じてしまった人だって珍しくない。

だから、軽率に「あなたもバイクに乗ろう!」とは言えない。

ただ、どうしても乗りたいというのなら、そこに愛があるのなら、いつかどこかの道の駅で一緒にソフトクリームでも食べよう。

 

これは、わたしの独りよがりな経験談である。

 

 

バイクの免許にはいくつかある。

原付免許、原付二種、原付二種AT限定、普通自動二輪免許、普通自動二輪AT限定、大型自動二輪免許、大型自動二輪AT限定。

ただエンジンを載せた二輪車に乗りたいだけなら、原付で十分だと思う。

 

事実、わたしも原付を乗り回して片道150キロとか走っていた。

 

ただ単に、橋の上を走りたかったから。

わたしは普通自動二輪以上である必要があった。

AT限定を選ばなかった理由としては簡単、いまの愛車に乗りたかったからである。

 

まずわたしは、一般的な女性よりも体格が劣る。

だけどわたしより身長が低い人だって、リッターバイクに乗っていたりするのだ。

できないなんてことはない。大丈夫。

 

免許取得のためには三種類ある。

ひとつ、一発検定。

運転免許試験場に直接赴いて、実技筆記ともに合格したらその日のうちに免許証が発行される。

もっとも安く、最も難しい方法だろう。

 

ふたつ、自動車学校に通う。

自動車学校で運転技術を学び、自動車学校の卒業検定を受ける。

それに合格すると、試験場での実技検定と講習をパスできる。

仕事や学校の合間に通えるが、そのぶん取得までの期間がかかる。

 

みっつ、自動車学校の合宿に行く。

自身が住む都道府県外の自動車学校の合宿で運転技術を学び、卒業検定を受ける。

一週間~10日ほど縛られることになるが、もっとも最短で取得できる。

 

わたしは、この三つ目を選んだ。

職業柄10日程度であれば休みが取れたので、せっかくならばと旅行気分で申し込んだのである。

結果としては最適解だったと思う。

 

なんせわたしという人間は諦めが早い。

ほかに才能なんてないが、諦めることに関しては天才的なのだ。

逃げるが勝ち、の精神を地で行く女である。

 

通いでちんたらしていたら、わたしはきっと挫けていた。

合宿のデメリットは期間を縛られてしまうことだが、そのおかげで逃げ場がなかった。

 

女にとってそれはメリットだった。

 

合宿に行ってしまえば、どれだけド下手クソでもやるしかない。

8日間、わたしは毎日21時~22時あたりには就寝していた。

なんといっても運動音痴、体力もない。

毎日疲れ果てて、行く前は旅行気分だったのに、シャワーを浴びることすら一苦労だった。

 

女はそれでも楽しかった。

 

だって、あこがれの大きいバイクに乗っているのだ!

小さな原付を乗り回して、大きいバイクの集団に追い越されるのを指をくわえて見ていたのに。

そのわたしが大きいバイクに乗っているのだ!

 

まぁ、大型はもっと大きいんですけど。

 

小学生のとき、逆上がりが一向にできなかった。

放課後、先生や友達と練習したけれど、結局わたしは逆上がりができるようにはならなかった。

 

小学生のとき、大縄跳びが苦手だった。

「いま!」とみんなにタイミングを教えてもらっても、絶対につっかかって迷惑をかけた。

担任の先生に

「これでお家で練習してきなさい」

と大縄を渡されたが、大縄跳びは一人じゃできないんだよ、先生。

 

小学生のとき、50mの短距離走で12秒台を出した。

ふざけていると思われて怒られたが、あれがわたしの全力疾走だった。

 

中学生のとき、ハンドボールのジャンプシュートができなくて、みんなが別の種目に移っても、毎時間ひとりだけジャンプシュートの練習をさせられた。

結局、ジャンプシュートはできるようにならなかった。

 

教習中、なんども転んだし、なんどもバイクをこかした。

引き起こしに手間取って教官に怒られたり、八の字走行で盛大に転んで少年二人に失笑されたり、クランクで盛大にこけてミラーを割ってクラッチレバーを折ったり。

 

帰りたい、やめたい、諦めたい、となんど思ったことか。

 

でも、そんなわたしでも、そんな運動音痴でも、検定は一発で合格したのだ。

そしていま、わたしは250ccのバイクに乗ってキャンプ遊びを楽しんでいる。

 

 

もし、運動音痴で……としり込みしている人がいるのなら、わたしは声を大にしてお勧めする。

もし、わたし諦めが早いからな……と不安な人がいるのなら、わたしは声を大にしてお勧める。

時間に余裕があるのなら、または学生なら

 

免許は合宿で取れ!

絶対に逃げられないから、環境的に。

 

免許は合宿で取れ!

 

根性論以外の話をすると、運動音痴に合宿をお勧めする理由がもうひとつある。

 

通いで教習を受けると、一週間に受けられる時限が決まっている。

一日に実車教習を受けられる時間は通いも合宿も変わりないが、通いと合宿の大きな違いはここにある。

 

通いで取ろうと思うと、どうしてもいちど乗って次にまた乗るまでに期間があく。

希望の時間に予約をとれないなんてこともある。

運動音痴にとってはとんでもない不利なのだ。

 

しかし、合宿であれば検定まで毎日連続して乗れる。

体で覚えることは、間をあけないほうがいい。

今日やったことを体が忘れないうちに明日もできる。

一日に乗れるのは二時間、二段階に進んでようやく三時間、それしか乗れない。

 

たった二時間の練習で、運動音痴が体に馴染むと思うか。

 

悪いことは言わない。

時間に余裕があるのなら、免許は

 

合宿で取れ!

 

夏休みなどのピークを外せば費用も安い。

三食ついて、非日常も楽しめる。

 

悪いことは言わない。

 

免許は合宿で取れ!

 

免許合宿は最短日数での卒業を目指すため、教習の時間割はギチギチに詰められる。

原付免許のみ、または免許を持っていない場合、学科講習も含め、早朝から夜まで教習所に閉じ込められる。

 

わたしは運の悪いことに、教習と教習の空き時間が無駄に多く、3時間そこらの時間をつぶさなければならないことも多かった。

 

普通免許と二輪免許の同時講習を受けている大学生は忙しそうであった。

期間は20日を超えると言っていたか。

大学の授業と違い、学科講習をさぼることも出来ない。

仮免や卒検の効果測定(模試みたいなやつ)もあるから大変だったろう。

 

毎日決められた時間割通りに教習所へ赴いて、適当に教本で勉強して……

なんて時間は、まるで学生に戻ったようで楽しかった。

 

自動二輪の教習生も効果測定がある。

教習所によっては、第一段階と第二段階で分かれているところもあるだろう。

わたしが選んだ教習所は、卒検までに効果測定で90点以上を四回出さないといけない、という条件だった。

 

95問中90点以上となると難しいようにみえるが、免許センターでの学科試験も合格条件は同じだったはず。

正直、そんなに難しくはない。

出る問題は似通っているし、教本を一度読めば覚えられた。

 

空き時間が苦痛だった理由としては、合宿二日目には効果測定を終えてしまったからかもしれない。

他の教習生が空き時間を利用して勉強しているなか、暇で暇で、iPhoneでゲームなんかしていた。

 

ぼっちで合宿に行くのなら、暇つぶし用に本でも持っていくと良い。

 

学生が多いこともあってか、定期的にレクリエーションのようなものをおこなって、教習生たちを楽しませていた。

ぼっち参加のコミュ障には辛い。

 

若者のコミュニケーションは疎外されていたが、わたしにはタバコミュニケーションという最大のツールがある。

喫煙所でのコミュニケーションは、大学生の頃からわたしというぼっちを救ってきた。

 

実車教習でよく一緒になった大学生の男の子、普通免許AT限定のイケメン。

大型二種(大型車で旅客輸送ができちゃう)取得中の優しいおっちゃん、同じく取得中のハーレー乗りだという格好いいおっちゃん。

中型一種を趣味で取得中のおそらくちょっとだけ年上の彼。

 

実車教習で一緒になることの多かった大学生くんにはたくさん迷惑かけた。

なんせ、わたしが転がるたびに教習が止まるのだ。

二人一組での教習だったお陰で、最後のほうに至ってはしょっちゅう一人でコースを走らせる羽目になった。スマン……

彼とはいまだに仲良くしている。サンキュー

 

君が「そば子さん、上手くなってきたっすね」「今日のそば子さんちょっとカッコよくみえたっす!」って言ってくれたから勇気がでたよ。ほんと、サンキューな。

 

おっちゃんたちにもたくさん励ましてもらった。

「まだまだ見ていて怖いところも多いけど、小さい体でバイクに乗っているのはカッコイイ」

なんて言ってもらったこともある。

検定で合格できる気がしない、と嘆いていたら「大丈夫だ!」と笑い飛ばしてくれたこともある。

 

年下の少年少女と積極的に仲良くするのは厳しいものがあったが、教官には積極的に、それはもうグイグイと話しかけた。

コミュ障にしては、という意味であるが。

 

「これが出来ない」

「これが難しい」

「これはどうやったら良い」

「これのコツを教えてくれ」

 

なんて具合に。

お陰で、「俺、次の時限空いてるから、取り回しの練習しようか」とまで言ってもらった。

 

コミュニケーション、取っておいたほうがいい。

 

合宿はまるで学校のように“毎日通う”。

学科、実車ともに教官の数は限られているし、メンツもだんだん固定されてくる。

自然とコミュニケーションをとれるタイミングも多くなるのだ。

 

ぼっち参加だとすべてひとりで管理しなければならないのだが、大人ならそれはとくに問題ないだろう。

ふだんの生活でやっていることだ。

「あれ、これはなんて説明されたっけ」となれば、さらっと受付に聞けばいいのだ。

 

だけど、ぼっち参加はやはり寂しい。

喫煙所の皆さんが仲良くしてくれたから、最後は少し名残惜しく思えたが、長い空き時間が何度も続くと寂しくもなる。

 

しかし心配無用、ぼっち参加にはメリットがある。

 

検定で落ちても凹む気持ちは半分以下!

 

これはまさに、その言葉通り。

わたしが検定を受けた日は自動二輪の卒検人数が多かった。

ぼっち参加が三人、男子の二人組、AT限定の女子二人組。

 

なんと、この二人で来ていた二組、どちらも片割れだけ不合格。

 

合宿は検定を合格すればその日のうちに帰宅できる。

というか、次の予約もあるしむやみに延長できない。

ようは、合格したら帰宅しなければならない。

 

ふたりで来て、ひとりは合格、もうひとりは不合格。

検定は翌日に持ち越しのため、ひとりは帰宅、ひとりは居残り。

笑い話にできる関係であれば良いが、わたしだったらだいぶ恥ずかしい。

やっちゃったぁ!とケラケラ笑っても、内心はぜったい恥ずかしい……

 

その点、ぼっち参加であれば検定で不合格をくらってもダメージは「不合格だった…」というところしかない!

あいつだけ帰っちゃった……と、いままで二人だったのに突然ひとりになって凹むことはない!

 

男子二人組は入校日も卒業予定日も同じだった。

実車教習はなんなくこなし、わたしが8の字コースで盛大にすっころんだのを見て嘲笑していた。

実車どころかシミュレーターすらド下手クソで、シミュレーターマシンをエンストさせたり、壁にぶつかったり、『よくある事故の再現』までなかなかたどり着かないわたしを見て嘲笑していた。

 

というかシミュレーターめっちゃ難しいやんけ!

仲良くなった大学生くんは「マリカーだったわ」とか言ってたけど、こちとらマリカーも苦手じゃ!! 

 

あの少年二人組からは、完全に馬鹿にされていたと思う。

聞こえないように隠れて笑っていてもな、見えるんだよ!

だから正直、この二人と教習が被ると気が重かった。

 

だけどね、とくに笑っていた今どきの細身イケメンくんよ!

クランクの二つ目のコーナーでパイロンをコテンと倒して検定中止になった君だよ、君!

 

思ったね、19歳そこらの少年に10も歳が離れた人間が思うことじゃないかもしれないけど。

大人げない、性格が悪いかもしれないけど。

 

卒検一発合格、コースを間違えてクランクを二回やった女はね、石段に座って凹んでいる君を見て思ったよ。

 

ざまぁみろ!!!

 

いや、ね、教習中あそこまで馬鹿にされた態度をとられていなかったら、わざわざブログになんて書きませんよ。

これはわたしの小さな復讐なのよ!!うはは!!

言ったろう!わたしは身体も心もSサイズなのだ!

 

人間としての器の小ささをなめるなよ!

 

君が小馬鹿にしていた女は一発で合格してやったぜ!!うははははは!!!!

 ざまぁみろ!!!

 

とにもかくにも、コミュニケーション能力に自信があるのなら、ぼっち参加も怖くないだろう。

ただ大人の皆さんには、普通免許や普通二輪は学生が多いことだけは覚悟してほしい。

 

普通自動二輪MTで女性はわたしだけだった。

25歳オーバーもわたしだけだった。というか30近いけど。

 

まぁまぁ浮いた。

 

二種免許や大型車の皆さんは、もっと年上のおじさまが多く、彼らに混じると逆にめちゃくちゃ年下になる。

 

まぁまぁ浮いた。

 

とまぁ、結論として、ぼっちだろうが複数だろうが、どちらにしても長短ある。

帯に短し襷に長し。

 

運動音痴だけどバイクに乗りたいあなたに合宿免許を勧める。

  1. 免許取得まで最短
  2. そもそも家に帰れないので、なかなか途中でリタイアできない。諦めが早い人には特にお勧め
  3. 毎日連続して練習できるため、通いよりも練習内容が体に馴染む。覚えたことを忘れる前に卒検を受けられるのは最大のメリット
  4. 教官とのコミュニケーションがとりやすく、うまく持ち込めば時間外にも教えてくれる

 

  1. 25歳以下であれば延長の際に追加料金ナシというところもある。検定が不合格でも安心

※25歳以上や年齢優遇がないところでも、たいていは「卒業まで追加料金ナシ」という保険を用意している。不安なひとにはお勧め

※延長料金免除制度は通いの自動車学校にもある。興味がある人はグーグル先生へ

 

わたしは25歳オーバー、挙句、この「卒業安心パック」的なものを利用しなかった。

なので、合宿二日目にはすでに延長料金の覚悟をしていた。

 

だって乗ろうとしただけでバイク転がしたんだもの。

不安にもなるわよ……

通いだったら確実に初っ端からハンコもらえていなかった……

良かった、帰ってこられて……

 

とにもかくにも、わたしはわたしの経験をもってお勧めする。

 

運動音痴のチビが!普通二輪に乗りたいのなら!

 

免許は合宿で取れ!!!